2023年1月28日 名古屋市市政資料館の見学と建物保存に関する説明のあと、名古屋市政
に関する経験談をさせていただきました。
この建物は、大正11年(1922年)に当時の名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所の庁舎として建設され、戦後は名古屋高等裁判所・地方裁判所として使われてきました。
これらが昭和54年(1979年)に新庁舎に移転後は、この建物を取り壊して跡地を公園とすることになっていましたが、保存を望む声が各方面から高まり、関係機関の協議の結果、国の重要文化財指定を経て現在の名古屋市市政資料館として保存・再活用されています。
荘重な外観と中央階段室の華やかな雰囲気は、創建当時のままに修復・保存されています。
今回は、初期の調査段階で保存改修事業に携わった者として、日本の建築の歴史上、特別に重要な建物である理由、取り壊しの予定を覆して保存活用に至った経緯、保存のための調査段階での業務、構造上の特徴、仕上げ材など、具体的な保存の内容について説明させていただきました。
中央階段室には、本物の大理石の部分と、漆喰壁に大理石模様を施した部分があり、当時の職人技の粋を見ることができます。
当日は、結婚式の前撮りの撮影が行われていました。ドラマや映画のロケにも時々使われています。
シャンデリアや絨毯、机、椅子などの家具も当時の資料に基づき忠実に復元されています。
歴史的建物はその街の歴史文化のバロメータであり、市民の誇りでもあります。
この建物が残って本当に良かった!
企画・レポート:宮木
Photo:吉田